季節のことば
春を司る神を「青皇」(せいこう)夏をつかさどる神を「赤帝」(せきてい)といったようです。
春でもなく夏でもなく雨催(あめもよ)いの頃,
春の青と夏の赤をまぜた紫のグラデーションの花を多く目にする。
その中でも「杜若」(かきつばた)。
「いづれ菖蒲か杜若」甲乙をつけがたい美女二人のたとえにもあるように,この二つを見分けるのは難しい。
花びらに網目のような模様があるのが「菖蒲」,花びらの中心に白い線のあるのが「杜若」。
「燕子花」(かきつばた)と書くのは,花を布に摺りつけて染める「書き付け花」に由来し,万葉のころから用いられたといわれている。
清少納言が「めでたきもの」としてあげる藤色。
古くは,アサガオと呼ばれ万葉集にも詠まれた桔梗の色,ききょういろ。
平安時代,高貴であでやかな色として愛された紫。
能,杜若の幻想的なシーンを思いながら,今夜は月をながめてみましょうか。