季節のことば
夏がはじまる。
暑いのは いやだなと,一瞬 思う。
「極楽の余り風」という言葉を目にした。
夏場に吹く,心地よい涼風のことだという。
団扇,すだれ,打ち水,水草の花,金魚,目で香りで色で,いかにこの涼風を手に入れるか。
日陰も手に入れようと,糸瓜(へちま)とゴーヤも植えてみた。
植物は毎日気になる。
へちまやゴーヤの蔓はもっと気になる。
気になるから関心を持つ。
真夏になったらこうなってくれるだろうとイメージを広げ わくわくする。
耐えがたい暑さの中にたのしみを持つことの幸せ。
ラジオの音もテレビの音もない。
あかりも少し落とし,風鈴を動かす極楽の余り風をそっとゆっくり感じたい今年の夏。