如月の季節のことば
寒い,本当に寒い。
とはいうものの,一年に一度のこの季節
なかなかのものである。
とはいうものの梅は咲いたか,桜はまだかいな,の気分でもある。
平安時代,村上天皇の御代清涼殿の梅が枯れ,八方手を尽くし梅の名木を探して,見つかった西京あたりの家の紅梅を移植することにした。
ところが,届けられた梅の枝に,その家の少女がしたためた短冊が結ばれて,
勅なれば いともかしこし鶯の宿はと問はば いかに答えむ。
「勅命とあれば 仕方がありませんが この梅を宿としている鶯が訪ねてきて,私の宿はと問うたとき どう答えたらいいのでしょうか」という文であった。天皇はその少女の気持ちを思いやり,梅の木を返した。
その少女は紀貫之(きのつらゆき)の娘で,やがて宮中に召され紅梅の内侍(ないし)と称(い)われ,梅は鶯宿梅(おうしゅくばい)と呼ばれたという。
立春の頃が一番寒いのに「春立つ」とするのは,これ以上は寒くならないという考え方に立脚(りっきゃく)しているという。